どうして日本人の横綱誕生にこだわるの?  世の中スケッチ Vol. 10

どうして日本人の横綱誕生にこだわるの?

先日終了した九州場所は、大関豪栄道の横綱昇進場所として盛り上がりましたね。しかし、日本人の横綱誕生という重圧につぶされた格好で中盤戦から脱落し、結局、横綱鶴竜が優勝賜杯をさらってしまいました。現在、幕内力士42人のうち外国人力士がじつに15人いて(35.7%)、最高位の横綱三人は全員モンゴル出身。日本人最後の横綱貴乃花が引退した2003年からじつに13年も外国人力士の横綱時代が続いています。なので日本人の横綱誕生の期待は否が応でも膨れ上がってしまうんですね。千秋楽をテレビで観ましたが、優勝インタビューに淀みなく日本語で答える鶴竜に、外国出身力士のパイオニアで、愛称ジェシーで親しまれた元関脇高見山が「日本語が上手な人が相撲の出世も早い」といった言葉を思いだしました。それ以上に鶴竜には、外国人力士などと表現すること自体が不自然に感ずるほど横綱の風格さえ漂わせていました。“また外国人力士”と場内が落胆モードかと思いきや、鶴竜への惜しみない拍手が画面から伝わってきたので、少しジンときてしまいました。言葉も生活習慣も違う異国に来て、国技という重い伝統を背負い、厳しい所作に縛られながら必死で相撲に取り組んできた外国人力士の艱難辛苦を熟知している相撲ファンの矜持を見た思いがしました。やや浮かれモードのスポーツ業界とは一線を引き、粛々と開催する初場所(1月8日から)が今から楽しみです。

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Shuji Hirose
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